Phillips Academy Andover

interview 15

どのようなことを期待して渡航しましたか?

アンドーバーは、過去に大統領も輩出した米国屈指の名門で、世界中から志の高い、優秀な生徒が集まっている学校だと聞いていましたので、自分がその様な環境で学び、また寮生活を送れるということが夢のように思えてなりませんでした。特に、ディスカッション形式の授業や新しい友達との出会いがとても楽しみで、授業での意見交換や日々の生活を通じて、様々な文化・意見に触れて、自分の視野を広げたいと思っていました。

留学を振り返って

10ヶ月の留学生活は、あらゆる面で自分の期待を大きく上回っていました。
まず、アンドーバーには、1人1人の生徒が満足できる学校生活を送ることができる環境が整っていました。生徒には300を超える選択科目数や、100以上の部活やボランティア活動を含めた課外活動をはじめ、本当に多くの選択肢が与えられています。私は、伸ばしたい教科だけでなく勉強したことのない教科を選択したり、あらゆる課外活動に参加したりしていく中で、自分には何が適しているのか、何が適していないのかを考えることができました。また、私が毎週とても楽しみにしていたのは、ゲストスピーカーによる講義でした。ミシェル・オバマのスピーチライター、最先端のロボットの開発者、発展途上国支援活動を行うNPOの創始者、世界で活躍するシェフなど、様々な分野の方のお話を聞くことができました。学校があらゆる分野のスピーカーを招待するのは、生徒に無限の可能性があることを知ってもらうためなのだ、と校長先生がおっしゃっていたことに感銘を受けて、私はアンドーバーだからこそのこの得難い経験からできる限りを学ぶために、行ける講義には全部参加することを心がけていました。
さらに、アンドーバーで出来た友達からも本当に多くを学ぶことが出来ました。皆が自分の意見をしっかりと持ち、自信を持ってそれを発表している様子は想像以上に刺激的で、毎日のように新しい意見や考えに出会いました。これは授業中のみに限らず、生徒主体で行われる政府への抗議運動や、校則が変わることに対する反対運動では、高校生でありながらも自分たちの意見を周りの社会に反映させたいというみんなの強い思いが感じられました。生徒同士がお互いに刺激し、高め合うことができるアンドーバーでの日々には常に学びがありました。

特徴的な課外活動について教えてください

-Andover Lawrence Strings
アンドーバーにはCommunity Engagementという学校外のコミュニティでのボランティア活動があり、Andover Lawrence Stringsはその中の1つです。Lawrenceという近くの町の子供たちに音楽を教える活動で、ピアノ・バイオリン・チェロを演奏できる生徒20人が学校の敷地内にあるチャペルで週1回1時間ほど行っていました。私は小学3年生の男の子にピアノを教えました。その子は、ピアノの弾き方や楽譜の読み方を知らない状態からのスタートでしたが、秋学期から春学期まで教え、最終的には楽譜は自力で読めるようになり、ゆっくりですが右手と左手を合わせて弾けるようになりました。
Community Engagementはもちろん全て無償です。活動はかなりの時間を要しますが、大学進学へのプレッシャーもある中、多くの生徒がCommunity Engagementに参加していることから、アンドーバーのモットーであるNon-sibiの精神が根付いていることが感じられます。
-Work Duty
アンドーバーでは、生徒それぞれに週に1度の仕事が与えられています。Work Dutyは生徒から学校への「恩返し」なのだ、と友達が言っていました。毎日ハイレベルな授業を受けられることや、生活しやすい環境が整っていること、著名なゲストスピーカーの講義に毎週のように参加できることなど、学校から受ける恩恵への感謝をWork Dutyを一生懸命こなすことで示すのだそうです。
私はAdmissionsというWork Dutyを行い、アンドーバーへの入学を希望する生徒とご両親に校内ツアーをするのが主な仕事内容でした。
-Blue Frontier
アンドーバーでは、生徒が自由に部活動を作ることができます。Blue Frontierは、1つ学年が下の友達3人と一緒に作った歴史・ニュース新聞です。
キャンパス内では生徒が頻繁に社会問題や政治について語り合っている様子を目にします。しかし、意見交換をしているのは多数派の意見を持つ生徒で、少数派の意見を持つ生徒は発言しにくく感じるというのが現在のアンドーバーの状況のようです。例えば、昨年の大統領選挙の時期、学校では反トランプ派の生徒の議論が繰り広げられ、学校全体としてトランプ支持者が発言しにくい雰囲気だった、と聞きました。実際に意識調査で明らかになったのは、4分の1の生徒がトランプを支持していたという事実でした。この活動はどんな意見を持った人でも発言できるような場をオンライン・月刊雑誌を通じて作ることを目標にして作ったクラブです。これは少数派の生徒の意見を全面に出すということではなく、多数派、少数派、また世界中から生徒が集まるアンドーバーだからこそ得られる国際的な意見、たった1つの事柄でも見方は人それぞれ異なるということを知ってもらうということです。私はこの活動の幹部の一員として、活動申請、広告、予算などの企画に携わっていました。活動への資金援助を学校に要請したところ、学校から6200ドルを受け取ることができ、春学期に正式なクラブとして認められました。
-College for Cambodia
私は支援活動と教育に興味があるので、この活動に参加しました。カンボジアにいる1人の中学生の学費を全額支援することをも目標としている部活で、不定期開催のイベントの企画や、カンボジアでの研修、現地の小学生との文通などが主な活動内容です。冬学期にあったDumpling Saleではカンボジアの中学校の私立中学校の年間学費に当たる1100ドルが集まりました。
-French Club
週1回、食堂の一室で"Language Table"が開かれます。フランス語・スペイン語・ドイツ語・日本語・中国語のテーブルが用意されていて、夕食を食べながらテーブルごとの言語のみを使って会話をするというものです。外国語を学ぶ生徒たちが自主的に集まって行われます。私はフランス語のスピーキングが苦手だったため、Language Tableには欠かさず参加していました。また、たまに日本語テーブルにも参加し、日本語を選択する生徒と会話を交わすこともありました。3学期ともフランス語を選択し、語彙力・スピーキング力が上がるにつれて、Language Tableで少しずつ喋れるようになっていったので、嬉しかったです。

interview 15

授業について

教科によって授業のスタイルが異なるので、分けてご説明します。
-数学
数学のクラスは能力別・分野別に30クラスほどに分かれているので、自分の能力に適した微分・積分のクラスに入ることができました。レベルは日本とあまり差はありません。クラス全員で黒板に書かれた問題を解くといった形式で、宿題で解いた問題で生徒が分からなかったものを解くことが多いです。基本的に4人組で座り、分からないところがあればグループで話し合います。異なる点は、テキストの配布がなく、ネット上で問題の共有をしているということです。
-文系科目(歴史・国語・哲学)
文系科目の授業は大抵の場合が宿題で読んだ文章に関するディスカッションです。文章中で自分が興味を持った点、疑問に思った点をクラスで発表し、内容への理解をより深めることがでいます。授業内容は、日本の高校のように“世界史”“日本史”“古典”などの大まかな分け方ではなく、例えば“世界史”の中でも Asian History/History of Middle-East/Revolution in Europe/Tudor Englandなどと細かく分かれているため、狭く深い知識を得ることができます。
-語学(フランス語)
以前イギリスに住んでいた時に習っていたこともあり、能力別試験を受けたところ6段階中、上から3番目のクラスに入りました。このクラスでは両親がフランス人の生徒や、日常会話を苦なくできるレベルの生徒が集まっていたため、授業で英語が話されることはほとんどなく、文系教科同様やはりディスカッションベースでした。
-経済学(ミクロ経済)
大学で経済学部に入学することを志望していたため、経済学部を選択しました。経済学は学んだことがなかったため、かなり難しいと感じました。授業は基本的にテキストを1章読み、その内容をクラス全員で確認するというものでした。また、「発展途上国を1カ国選び、その国の経済発展を促す計画を立てる」という内容のプレゼンテーションをグループで作るというアクティビティもありました。
-Public Speaking
Public Speakingは、人前でスピーチやプレゼンテーションを発表する練習をする授業です。授業中・放課後を使ってテーマに沿った内容の原稿を書き、暗記をして、クラスの前で発表をしました。人前での発表は今後確実に経験すると思うので、日本の高校にはないこの授業を受けることができてよかったと思います。

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宿題・課題について

女子高では宿題は滅多に出なかったので、留学当初は宿題の多さに驚きました。各教科1日45分程度の宿題を出すのが学校のルールだということを聞きましたが、教科によっては数時間かかるものもあります。
文系教科の宿題には2通りあります。1つは本・冊子を読む宿題です。授業は宿題で読んだ文章の内容に関するディスカッションが主なので、宿題をこなさなければ授業についていくことができません。私が選択した教科の宿題では、1日平均30ページの文章を読みました。冬学期以降私は数学選択をやめて、文系教科のみを取っていたので、かなり夜遅くまで文章を読んでいることが多かったです。
2つ目は、エッセイです。授業によりますが、文系教科では大抵各学期に3、4つエッセイを書きます。(クラスによっては6つ書く場合もあります。)それまで読んだ文章のアイディアを利用して、1週間ほどで書き上げます。日本の高校では文章を書く経験をあまりしてこなかったため、最初はエッセイ1つ書くために多くの時間を要していました。3学期かけてかなりの個数のエッセイを書くため、春学期には比較的短時間で書けるようになりました。
数学の宿題は担当の先生によって異なりますが、私のクラスでは先生のチェックがなく、生徒に任されていたような感じでした。わからない問題があれば授業内で提案してクラス全員で解きましたが、大抵は自分で解いて自分で採点するという形でした。

今後の留学生へのアドバイス

勉強面と生活面、共に日本の高校とは大きく異なるため、心配なことも多いと思います。私も入学以前は学校になじめるのだろうか、授業についていけるのだろうか、などと不安でいっぱいでした。しかし、アンドーバーの先生方・生徒は本当に全員が親切で、「こんなにしていただいてしまって良いのか」と思ってしまう程、温かく勉強面・生活面のサポートをしてくださるため、私の場合入学から2週間経った頃には不安を忘れ、ただひたすらに学校生活を楽しんでいました。
留学に向けて、日本にいる間になにか準備をなさるのであれば、英語の文章を速読する練習をすることをお勧めします。アンドーバーでは文章を読む宿題が本当に多く、先ほども書いた通り私の選択していた教科では1教科につき30ページほど読んでいました。1語1語丁寧に読むのには長時間を要してしまうので、細かく読む箇所・読み流しても良い箇所を判断して、速く読めるようになれれば宿題はとても楽になると思います。

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