Winchester College

interview 14

留学を志した時期はいつ頃ですか

中学の後半、派遣留学プログラム発足の話を聞き興味を持ちました。

課外活動は何をしていましたか?

運動は、日本でも前からやっていた陸上を続けることを選びました。冬はトラックではなくクロス・カントリーが主で、泥、木の根、止まない雨、そしてどこまでも続くイギリスの丘と親しくなりました。校内では上級生の多くが参加する11kmのレース(写真)や寮の学年から一人ずつ選出しての寮対抗リレー(1km×5人)、ランニング・クラブでは他のボーディングスクールと行う学校対抗のクロカン・リレー(3~5km×4人)。また、全国大会へとつながる大会ではハンプシャー州の代表に選ばれ、州対抗のレース(7km)に出場しました。どの学校もフルタイムの部活方式ではないため自分がよく知っている陸上激戦区・神奈川県のような選手層の厚さはありませんでしたが、上位に入賞する選手はとても敵わないレベルで、世界レベルの中距離選手を輩出している本場イギリスの実力を垣間見た気がしました。
春のトラック・シーズンでは、校内の寮対抗陸上大会では個人とリレー合わせて4種目に出場・優勝し、自分の寮の十数年ぶりの総合優勝に貢献しました。対外試合もありましたが観客がコースの外側で犬の散歩をしているようなリラックスした雰囲気で、最初はかなり驚きましたが慣れてしまえば自分までのんびり走れるいい環境でした。足の運びまでのんびりして記録があまり出なかったのもそのせいでしょうか。クリケットの試合と同じく、選手・家族・先生が交流を深める貴重な機会になっているようです。本来ひとりのはずの顧問でしたが、陸上経験者やランニング愛好家の先生が参加することで充実したコーチ陣ができており、体力維持のため走りたい人から本気で記録を狙いたい人まで多様な需要に応えられるようになっていました。それでも参加者が少ないままだったのは「ただ走るだけはつまらないし、チームスポーツと比べて格好良くない」という意識を多くの生徒が持っていたからでしょう。
音楽でも、前から演奏していたクラリネットを続けることにしました。新しいことへの興味がなかったわけではありませんが、自分の今までの努力と経験を試すと同時に新たな刺激を得たいと思い、陸上と同様、留学先でも継続して活動しました。個人では週一回のレッスンを受けていました。当初は40分だったのですが、それでは流れに乗ったところで終わってしまうということで1時間に延長しました。レッスンは外部からプロの先生が週に数日訪ねてくるというシステムと取っており、自分がお世話になった先生はもう40年もウィンチェスターで教えている大ベテランでした。日本で教わっていた先生とは違うスタイルの方で、自分の演奏に関しても違う切り口で改善点を見つけてもらえました。自分は先生にとって朝一番の生徒だったのですが、よく言われた「君は早起きして教えるに値する」という言葉はたいへん嬉しいものでした。
当初は人数が一杯で入れてもらえなかったオーケストラも年度の後半からは参加することができました。学年末のコンサートではドヴォルザークの交響曲を通して演奏しましたが、相方とソロの奪い合いをしながらの楽しい曲になりました。
また、ジャズバンドにも唯一のクラリネットとして参加していました。この十数人の小さなグループは、全生徒に課せられているコミュニティ・サービス(CS)としても活動しており、小学校を訪問して演奏しながらジャズの基本を教えたり老人ホームに行って往年の名曲を演奏したりしました。自分が初めて楽器を習った先生がジャズを専門としていたこともあり小さい頃から即興演奏には慣れていたので大きな問題もなく演奏に参加することができました。毎回、自分の楽器を紹介するコーナーがあり、誰もが自分の楽器が一番だと主張するのですが、一度サックス吹きの友人に「サックスの派生形でクラリネットというのがありますが・・・」と紹介されたときは順番を守らず「クラリネットもオーケストラ楽器の中では若い方ですが、オーケストラに入れてもらえないサックスほど新参者ではありません」と反論してしまうこともありました。
ジャズもオーケストラも週一回の練習で、部員の技量も完成度もフルタイムの部活のようにはいきませんでしたが、それでも塾高では不可能な運動との両立ができたことは寮生活の非常に大きな利点でした。


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寮の食事はいかがでしたか?

全体の大食堂があるのではなく、街に点在する11の寮ごとに厨房と食堂があり、寮の共同体意識が生まれるようになっています。
朝食は軽いビュッフェ方式で、学年ごとに時間をずらしていました。ソーセージ、ベイクドビーンズ、各種玉子料理、フライドポテトに加え、自由に食べられるトーストや各種シリアルがありました。日曜日は人によって礼拝の時間が異なることから朝食は来るべき時間が定められておらず、出来合いのペーストリーやベーグルなど普段と一味違う中身でした。
昼食は寮の全員で集まって食べる一日のメインの食事です。学年ごとにテーブルが割り当てられ、その端には日替わりで招かれる先生が座り、生徒と会話を楽しむことになっています。肉や魚と野菜、カレー/シチューと米/麺などのパターンがあり、必ず甘いデザートがついてきます。比較的出来の良かったメニューにチキンカツカレーを模した料理がありましたが、辛さが足りないのと米がタイ米であること以外は驚くほど日本風でした。皿や料理を並べたり下げたりするのは厨房のスタッフと手伝いの下級生が担当していましたが、他の寮では必ずしもそうではないそうです。
夕食はTeaと呼ばれることからわかるように軽食という扱いで、主に一品料理が出されます。例えばカレー、ピラフなどの米料理、タイ風焼きそば、ハンバーガー、ピザなどです。それに加えて小さなサラダバーがあり、サラダやその他付け合わせが取れます。しかし自分がサラダボウルから全体の半分ほど取っても余っていることもあり、他の寮生の食生活が思いやられました。
夕食が午後6時なので夜は空腹を覚えることも多く、間食は寮生の一大関心事でした。自由に食べられる果物(人気があるのは手間のかからないリンゴ、スモモ、洋ナシ、桃などで、逆にミカンなど柑橘系は剥く手間がかかるので残りがちでした)や、小厨房に置いてあるトースト(ピーナッツ・バターやチョコレート・スプレッドが大人気)がありました。湯沸かし器・電子レンジもあるので即席麵やパック米を持ち込んでいる生徒(主にアジア人)が有効活用していました。自分はフリーズドライの味噌汁、お湯を注いでできる災害用米、ほうじ茶のティーバッグ、そしてカロリーメイトに助けられました。
ただ、これは食生活が比較的上等とされている寮の例であり、すべての寮がそうであるわけではないようでした。

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interview 14

短期・長期休暇はどのように過ごしましたか?

学期の間の休暇はすべてガーディアン宅に泊まり、近辺の博物館や史跡などを巡りました。ナショナルトラストの管理している古い邸宅、11世紀に建てられたアランデル城、ポーツマスにあるフォートネルソン要塞を流用した王立武器防具博物館など歴史ある場所がとにかく多く、少ない休暇ではまったく足りませんでした。サウサンプトンでのサッカーの試合に連れて行ってもらったこともあり、そこでは普段あまり興味のないサッカーもプロの技を見て楽しむことができました。また、自分から行きたかったところにも数か所行きました。年度の最初の休暇には、ウィンチェスターにひと月ほど滞在していた普通部の先生と一緒にロンドンの英空軍博物館に行きました。連合国らしく豊富な所蔵資料があり、一日かけてやっとのことで回りました。中でも、英空軍の象徴的な二次大戦機・スピットファイアのコクピットに座って計器や操縦の説明を受けたのは年間を通じてのハイライトであります。5月の休暇にはドーセットにある戦車博物館にも連れて行ってもらい、各国・各時代の戦闘車両を間近で見てそのデザインやメカニズムを観察しました。日本には一両も残っていない帝国陸軍の軽戦車も隅の方にあるなどコレクションが非常に豊富なのがこちらの博物館も戦勝国らしいところです。飛行機や美術品と違い展示物が頑丈なので特に触ってはいけないということもなく、文字通り肌で歴史を感じることができました。
ガーディアン夫婦が大都市は疲れるので引率できないということで、ロンドンに一人で出かけたこともありました。運賃は高いものの1時間半ほどの列車旅で、十分日帰りで済む距離です。慣れないからか、歩き回って疲れてしまい、午後の早いうちに帰ってしまいましたが、ウィンチェスターから出られた数少ない機会でした。
学期間の長期休暇は冬・春ともに帰国し、在籍高校の部活動で練習や試合に参加していました。

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授業について

科目や時期によりムラがあり、復習メインかと思えば急に先に進むこともありました。履修した範囲は日本の在籍高校でカバーしていなかった部分ばかりだったのでレベルを比較することはできません。在籍高校は特に宿題が少ないこともあり、比較するとたいへん多く感じましたが、慣れてしまうと与えられた時間内に余裕をもって終わらせることができました。特にエッセイは慣れないと時間がかかり大変でしたが要領を得てからは計画を立てて進めました。
試験は年に2回あり、内容は授業でカバーした問題と少しの応用問題が出題されました。 科目が少なく、記憶する事柄も少なかったため、試験の準備はあまり労力を要さない分、エッセイ問題は特に試験中に考えることが多かったように感じます。

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今後の留学生へのアドバイス

日本ではある分野を一通り済ませてから次に向かうのに対し、英国では基礎をカバーしたら他に移り、また後で戻ってきて応用を足していく方式なので、分野によっては我々より進んでいます。例えば数学だと微積の基礎を終わらせていたり、化学だと有機化学の基礎を知っていたり、驚くこともあるかもしれません。しかし、分からないところが出てくるたびに質問して吸収すれば問題なく追いつける速度なので心配して夏休み中勉強するようなことはしない方が賢明かと思います。 あとは日本史をおさらいしていくと質問されたときに答えられることが増えます。イギリスの歴史も概説くらいは読むといいかもしれません。

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